部活の大会がなくなって、息子がゲームばかりしています。

2020.7.14
  • 保護者
休校になっても、自宅でコツコツトレーニングしていた息子でしたが、所属している部活の大会がなくなったことで、すっかりやる気をなくしてしまい、ゲームばかりやっています。こんな時、親としてどんな声をかけてあげたらよいのでしょうか?
  • 田中ウルヴェ 京
 息子さんの部活の大会がなくなってしまったこと、そのこと自体は、本当に息子さんにとって残念なことだとお察しします。特に、休校になってもトレーニングしていた、ということは、おそらく、息子さんがどんな逆境にも立ち向かって頑張ろうとしていたからであろうとも思います。その頑張る最大の目的であった「大会」がなくなったわけですから、やる気という心のエネルギーを発する意味がなくなったと感じたのでしょう。息子さんのやる気がなくなるのは、当然のことだと思います。

 さて、ここでもし私が息子さんの母親という立場であれば、興味があるのは、「やる気がなくなった」という心理状態と「ゲームばかりをやる」という行動の関係性です。極端な言い方ですが、もしも本当に“やる気がなくなった”のであれば、「何も手につかない」という放心状態になることも可能なわけですが、そうではないということです。息子さんはなぜ“ゲームばかり”をできるのか。これは皮肉で言っているのではありません、笑。もしかすると、「自分の溢れるエネルギーの出しどころを失った」という状態であるとも考えられます。要するに、これまで必死に部活に費やしてきた時間、想いをどうしていいのかわからない……のかもしれません。

 もしもそうであれば、それこそ、正解などありません。私であれば、真剣に彼に向き合い、「この今の我々の状態は人生の危機だ。どのようにこの危機を捉えて、どう生きていくと我々が選択をするべきなのか考える時間を天が与えてくれたと考えてはどうだろうか」と真剣に聞くと思います。息子さんがもしも部活を真剣にやっておられたのであれば、親としてのこちらも真剣に、と思うからです。

 大事なことは、息子さんが今、何を感じ、何を考えていて、今後どうしたいと思っているのかです。この機会に、なぜその部活動を始めたのか、部活の魅力は何か、大会がなくなったことをどのように捉えているのか、など、息子さんから「教えてもらい」、お子さんと一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール

田中ウルヴェ 京 (たなかウルヴェ・みやこ)

1967年東京生まれ。1988年ソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダル獲得。日・米・仏のシンクロ代表チームコーチを10年間歴任。91年渡米し、米国大学院で修士号取得(専門はスポーツ心理)。日本スポーツ心理学会認定メンタルトレーニング上級指導士。トップアスリートからビジネスパーソンなど幅広くメンタルトレーニングを指導。2017年IOC国際オリンピック委員会マーケティング委員に就任。スポーツ庁スポーツ審議会委員。報道番組レギュラーコメンテーターを多数務めている。フランス人の夫と一男一女の母。

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