子どもたちにコロナに関する指導をする時間をとることがなかなかできないでいます。

2020.12.14
  • 小学校教諭
学習が遅れている中、子どもたちにコロナに関する指導をする時間をとることがなかなかできないでいます。
どの時間、枠組みを使えばよいでしょうか。
  • 冨永良喜
 学習指導要領で感染症が扱われているのは、中学校の保健体育に限られます。長期的には教科の中に感染症に関する教育を位置づける検討もされるかもしれませんが、子どもたちの感染症に対する正しい理解を深めるためには、学習指導要領で示された時間以外で特設の時間を作ることを考える必要があるでしょう。今年度は春の臨時休業により非常に厳しい教育課程の実施となっていますが、インフルエンザ流行による学級閉鎖、学校閉鎖に備えて確保している余剰時間を、コロナ教育に当てるなどが考えられます。

 実際に、ある地域の小学校では、「特別活動」の時間をコロナに関する教育にあてています。免疫の話から始めて、規則正しい生活が免疫力を高めるといった話を集中的にすることで、子どもたちのコロナに対する理解度がぐっと深まります。月1回など短時間でも時間を決めて定期的にコロナについて勉強する時間を作っておくと、刻々と変わる状況に応じて、最新の知識を子どもたちに伝えることができます。

中学校は教科担任制で、特設の時間をつくることが難しいという事情もあるようです。現状では、例えば、道徳や保健の時間などを使って対応している例があります。道徳の内容項目のうち、偏見や差別の項目と関連付けながらコロナについて授業をするなどです。保健は、通常は体育教員が指導しますが、感染症などについてより詳しい知識を持っている養護教員やスクールカウンセラーが授業の一部を担うなども考えられるでしょう。

海外の例を見ると、中国は2008年の四川大地震以降、心理健康について指導できる教員育成に力を入れ、例えば、唐山地方では年間で18コマ心理健康の授業の時間を取っています。日本でも、心理健康教育の時間をつくるなど、カリキュラム化し、心身の健康やストレスなどについて、安定的に学べる体制が望まれます。
取材・編集
社会応援ネットワーク
監修者プロフィール

冨永良喜 (とみなが・よしき)

兵庫教育大学名誉教授。博士(心理学)。元日本ストレスマネジメント学会理事長。専門は災害臨床心理学。阪神・淡路大震災、四川大地震、東日本大震災などで被災地の心のサポートに入った経験から、学校において、心の健康授業の普及をめざす。

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