大切なペットが亡くなり、何もやる気が起きない。
2024.9.1
- 中学生
- 冨永良喜
心理学者のフロイトは、大切な人を亡くした時には悲しみを乗り越えるためのプロセスがあると説明し、これを「喪の作業」と表現しました。
第一段階は「ショックとマヒ期」です。突然の別れに強いショックを受け、現実を受け入れられない時期です。悲しいのに涙も出ない、ということもあります。これはショックが大きすぎるために心を守ろうとする自然な反応です。しっかり睡眠をとり、栄養と水分を意識してとることが大切です。
第二段階は「切望と探求期」です。「会いたい」と強く願い、後悔や不安、怒りなどの感情が湧き上がってくる時期です。日常生活と愛犬を思う時間を意識して切り分けることが大切です。写真などの思い出の品を飾ると、心が落ち着いていくことがあります。
第三段階は「絶望と混乱期」です。失った現実を少しずつ受け入れ、あきらめようとする時期で、直後よりも深い絶望を感じ、心がうつ状態になることもあります。思い出話を他の人と分かち合うことが心の癒しにつながります。
第四段階は「回復の時期」です。少しずつ愛犬との思い出も穏やかで前向きなものになり、時には、愛犬が「見守ってくれている」と感じられるようになります。
人によって時間的な差はありますが、「喪の作業」を知ることで、今の状態は当たり前なんだと思えることが大事です。
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監修者プロフィール
冨永良喜 (とみなが・よしき)
兵庫教育大学名誉教授。博士(心理学)。元日本ストレスマネジメント学会理事長。専門は災害臨床心理学。阪神・淡路大震災、四川大地震、東日本大震災などで被災地の心のサポートに入った経験から、学校において、心の健康授業の普及をめざす。