地震で被災したお正月の時期が近づくと、子どもの様子が落ち着かない…。
2024.12.1
- 保護者
- 冨永良喜
地震で被災したお正月の時期が近づくと、子どもの様子が落ち着かない…。
そんな姿を見て、不安になる親御さんも多いのではないでしょうか。
これは「アニバーサリー反応」と呼ばれるものかもしれません。アニバーサリー反応とは、過去のつらい出来事を思い出させる特定の時期やその出来事の報道に触れることで、心の中に眠っていたストレス反応が再び現れることです。誰にでも起こりうる自然な反応であり、異常なことではありません。
特に子どもは、こうした反応を「自分の心が弱いせいだ」と感じてしまうことがあります。でも、それは心が弱いからではなく、むしろ心が一生懸命に自分を守ろうとしている証なのです。ですから、親御さんが「それは誰にでも起こりうることだよ」と伝えてあげることが大切です。
大事なのは、反応を抑え込むのではなく、安心して感情を表現できる環境をつくることです。例えば、落ち着かないときは深呼吸をする「10秒呼吸法」などのリラクセーション法を試してみるのもよいでしょう。こうした方法は、心を落ち着かせるのに役立ちます。
お子さんが少しでも安心して過ごせるように、寄り添いながらサポートしてあげてください。小さなステップの積み重ねが、心の回復に確実につながります。
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監修者プロフィール
冨永良喜 (とみなが・よしき)
兵庫教育大学名誉教授。博士(心理学)。元日本ストレスマネジメント学会理事長。専門は災害臨床心理学。阪神・淡路大震災、四川大地震、東日本大震災などで被災地の心のサポートに入った経験から、学校において、心の健康授業の普及をめざす。