長期休暇後に登校しにくくなる子どもには、どのような特徴や背景が見られますか?
2025.8.15
- 教職員
- 福島美由紀
長期休暇後に登校を渋る子どもたちには、いくつかの共通した身体的・心理的な特徴が見られます。
まず、身体の不調が目立つケースが多く、頭痛や腹痛、特に朝起きられないといった症状で起立性調節障害(OD)と診断される場合があり、これは不登校の約4割を占めるとも言われています。
また、人間関係の難しさや、感覚過敏を抱える子も多いです。自閉スペクトラム症(ASD)の特性として感覚が過敏な場合、大勢のいる教室の音や光に強いストレスを感じ、集中できず辛さを感じています。
その他にも、何を考えているか読み取りにくい子、パニックになりやすい子、家庭環境が複雑で保護者との連携が難しい子など、その背景は多岐にわたります。
不登校の背景には、「生まれつきの気質( H S Pなど)」、「親子関係の問題」、そして「過去の傷つきやトラウマ」といった要因が複雑に絡み合っています。トラウマが癒えないと、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の反応として、イライラしたり、無気力で動けなくなったりといった状態となって現れます。
大人ができるアプローチとして大切なのは、「誰かや何かのせい」にする考え方から離れ、「今、この子どもの心身がどのような状態にあるのか」を客観的に観察し、「協働調整」をしていくことで、心と体の健康を保つことです。
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監修者プロフィール
福島美由紀 (ふくしま・みゆき)
スクールカウンセラーとして約20年間、小中高等学校で勤務。看護学校2校の非常勤講師として「カウンセリング理論」「メンタルヘルスマネージメント」の講義を担当。スクールカウンセリングでは、不登校、非行、いじめ、友人問題、発達障害のほか、育児不安や家庭の問題など、さまざまな悩みに対応。子どもや保護者の悩みを聞くだけでなく、教職員の相談、研修や講演会、教育プログラムなども手掛ける。

