自傷行為(リストカットなど)と自殺企図は、心理的にどのように異なりますか?関わる上での注意点も教えてください。
2025.12.1
- 教職員・保護者
- 福島美由紀
自傷行為と自殺企図は、同じ「死」に関わる行動でも、心理的な目的が大きく異なります。
自傷行為(リストカットなど)は、多くの場合、「死にたい」からやるのではありません。むしろ、心の耐え難い辛さから一時的に解放され、「生き延びるため」に行われます。身体的な痛みを感じることで、心の苦痛から逃れたり、スッキリしたりすると訴える子どもが多いです。この行為は、脳内麻薬(βエンドルフィン等)が放出されることで習慣化しやすいという特徴があります。リストカットは死に至らないと思われがちですが、習慣化しエスカレートすると自殺に向かうリスクを伴うため、決して軽視できません。
自殺企図は、多くの場合、子どもにとって「それ以外に解決策が見当たらない」という心理的視野狭窄に陥った末の行動です。近年、特に長期休暇明けの9月(9月1日問題)は、子どもの自殺が顕著に増加するリスキーな時期であり、特に中高生の女子の増加が目立ちます。
こうした子どもたちと関わる時には、次に紹介するようなことに注意してください。
❶「やめなさい」は禁句
自傷行為に対して、頭ごなしに「やめなさい」と指導すると、信頼関係が壊れてしまいます。まず、「よく話してくれたね」「ここにいてくれて嬉しいよ」と労いと感謝を伝え、つながりを優先します。
❷冷静な態度で接する
落ち着いた態度で、過剰に慌てず接することが望ましいです。エスカレートした場合の危険性は冷静に伝えます。
❸保護者との連携
保護者への連絡は必須ですが、子どもは保護者の過剰な反応や無反応を恐れています。「アピールではなく、本当に辛いサインである」という事実を伝え、連携してていねいに対応する必要があります。
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監修者プロフィール
福島美由紀 (ふくしま・みゆき)
スクールカウンセラーとして約20年間、小中高等学校で勤務。看護学校2校の非常勤講師として「カウンセリング理論」「メンタルヘルスマネージメント」の講義を担当。スクールカウンセリングでは、不登校、非行、いじめ、友人問題、発達障害のほか、育児不安や家庭の問題など、さまざまな悩みに対応。子どもや保護者の悩みを聞くだけでなく、教職員の相談、研修や講演会、教育プログラムなども手掛ける。



